随分前に脳梗塞を発症し、年数が経っているのでもうこれ以上動けるようにならないとあきらめている方はいらっしゃませんか?
実は、
自分のやっていることに注意を向ける
カラダの動きを学び直す
この2つをすることであきらめていた動きを可能にする糸口が見つかります。
以前の記事でもご紹介しましたが、フェルデンクライスメソッドで関わらせてもらっている施設の利用者さまです。
彼女は最近介助なしで車椅子からベッドへの移動ができるようになりました。
ご本人もスタッフもビックリのこの変化!
何が起きたのでしょうか?
彼女の願いは、職員の方に介助されず自分で動くことができるようになること!
患者さんや利用者さんの中にはこういう願いを持っている方が多くいらっしゃいます。
たとえ職員から「いつでも呼んでね~」と言われていても、多くの方は気を遣っておられます。
「職員さんはああ言ってくださるけど、何度も呼ぶのはやっぱり気が引けるのよ」
誰だって自分の好きな時に動いてトイレや食事に行けるようになりたいですよね?
彼女に関わらせてもらうようになって以前に比べると車椅子からベッドへの移動はできるようにはなっていたのですが・・・
立ち上がる時にお尻が中々持ち上がらないことがよくありました。
見ていても力を使っていてバランスも悪くフラフラしています。
彼女の立ち上がりを見ていると足底(足の裏)を床に着けずに立っていました。
体重が足に十分に乗り切らないうちに立ち上がろうとしていたのです。
まず彼女に立ち上がるということはどういうことなのか?を感覚的に学んでもらうことにしました。
立ち上がるという動きは、色々な視点で説明することができますが、私はシンプルに
体の中で重さがどのように移っていくか?
という感覚を手掛かりに説明していきました。
まず座っている時にどこに重さがのっているか彼女に感じてもらう
立ち上がろうとするときにその重さが足の方へ移っていく感覚を感じてもらう
何度かやってみますがやっぱり上手く重さがのっていきません。
そこで彼女に
「立ち上がろうとする時に足の裏を床に着けているか?そこにしっかり重さがのっているかということに注意を向けてやってみてください」と提案してみました。
もう一度立ち上がってもらうと
「あら!ぜんぜん足を(床に)着けてなかったわ!あんなに言われていたのに!私やってなかったんですね」
彼女は立ち上がることに必死で、体の中を重さが移動していく感覚を忘れていました。
つま先立ちに近い状態で立ち上がろうとしていたのです。
これでは必要以上の力を使ってしまいます。
つま先立ちに近い状態で立っていたこと
足の裏へ十分に重さが移らないうちに立ち上がろうとしていたこと
自分がやっていることに注意が向けられるようになった
ことで、お尻が持ち上がってくるようになりました。
彼女はもともと好奇心があって研究熱心なので、私が関わらないときも職員を捕まえて練習していたようなんですね
何日か経って彼女の元へ行くと・・・
介助なしで自分で立てるようになっていました!
以前と立ち上がり方が違うのです。
柵を握りしめて腕の力で立とうとしているのがなくなりました。
足の裏も床につけて立ち上がりも安定しています。
多くの人は片方が使えなくなったから良い方の足に筋力をいっぱいつけて立ち上がらなきゃと思います。
もしくは、私にはもう筋力がないからできないとも言います。
骨格に沿って上手く重さを移すことができれば、そんなに力を使わなくても立ち上がれるのです。
例え片方に麻痺があってもです!
彼女も言っていたのですが
「元気な頃はこんなに自分の動きに注意を向けたことはなかった。」
「立ち上がるためにどうやって動いているなんて考えたこともなかった」
そうなんです!
多くの人は元気に動けているうちは立ち上がるってどういうこと?なんて考えることはないと思います。
私たちはいつでも「学ぶ」ことができます!
例えできなくても、
カラダの動きを学び直す
ことができれば可能性は広がっていきます。
彼女のように!
実は続きがありまして・・・
立ち上がりが安定したことで嬉しいオマケもついてきました。
靴を自分で脱げるようになったのです!
以前は身体を前に屈めることはできませんでした。
ベッドの端に安定して座ることもできなかったのです。
素晴らしい!!!
まだまだ成長し続ける彼女の今後に期待です!
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